ジョジョ4部夢
​■ジョジョ4部夢・登場人物

城丸

159㎝/15歳/O型

通称:城丸ちゃん

  • オタク界隈のどこかにいそうな拗らせ女子高生。

  • 仗助のクラスメイトで、亀友デパートのケーキ屋でアルバイトをしている。

  • 好きなジャンルはアニメからゲームと幅広く、特にロボットアニメが好き。最近はエ○ァンゲリオンにハマっている。

  • 子供の頃見ていた「聖なる剣の眠る場所」の主人公ロレーヌを心から尊敬している。

スタンド:レンタルキャラクター

  • アニメや漫画問わず、キャラクターなら何でも召喚することができる能力。

  • 一度に複数のキャラクターを召喚は出来ない。召喚できるのは一人のみ。

  • キャラクターについての知識と理解がなければ召喚出来ない。(例:漫画は読んでないけどキャラクターは知っている等)

  • 自分の考えた創作キャラクターを召喚することは出来ない。

  • 召喚したキャラクターが従ってくれるとは限らない。キャラクターとの相性等が悪ければ、殺されかけることもある。

  • 召喚時間に制限はないが、能力者の意思で解除することは出来ない。能力者かキャラクターが死なないと解除出来ない。

  • 銀色のタブレット端末機だったが、進化して人型になった。

  • 銀髪のツインテールがチャームポイントのアンドロイドのようなスタンド。


ロレーヌ

175㎝/63キロ

  • テレビアニメ「聖なる剣の眠る場所」の主人公。

  • 聖女ジャンヌダルクの剣に宿る天使。聖剣ロレーヌとも呼ばれる。

  • ジャンヌダルクを心から愛し、人々の幸福を心から願う天使。

  • ジャンヌダルクと共に旅をし、迷える人々を導いてきた。 

  • 物語上では、ジャンヌダルクを守る為に亡くなっている。

  • レンタルキャラクターによって顕現された最初のキャラクター。

フレイラム

165㎝/17歳

  • 「聖なる剣の眠る場所」のスピンオフ小説、「高潔なる王女の眠る城」の主人公。

  • ブリタニカ王国の王女で、「聖なる剣の眠る場所」ではロレーヌとジャンヌダルクの敵役として登場していた。

  • 視聴者が選ぶ人気キャラクターランキングは3位で、コアなファンがいる。

  • ロレーヌやジャンヌダルクを“夢見る天使と世間知らずの聖女”と称しており、ファンタジー作品としては珍しいほどのリアリスト。

  • 一流の魔術師としても名高く、作中ではラスボスに次いで無類の強さを誇る。

  • レンタルキャラクターで顕現された二人目のキャラクター。

​●レンタルキャラクター

私はただ、大好きなキャラクターに会いたかっただけなんだよ。

 

×××

 

町を吹き抜ける風の音が、若い女の悲鳴のように聞こえた。

 

可哀相で哀れな音だった。それは月へまで届きそうなほど高く響きわたり、やがて跡形もなくふっと消えた。すると底の見えない闇がゆるやかに顔を出した。途方もなく恐ろしいそれが、城丸の心を人さらいのように遠くへ誘い出す。その意味について考えを巡らせると、ある言葉が頭に思い浮かび、思わず口にだした。

 

「……わ、私の後ろには、傷つけてはいけない人々がいる」

 

死が足から忍び寄ってきているのが分かった。だから、だからなのだ。この上なく愛するキャラクターの、この上なくカッコいい台詞を口にしたくなった。乾いた舌では上手に発音出来なったが、それでも後悔はない。ある意味、真正面から死と向かい合っていると思ったから。

 

「私の後ろには、傷つけてはいけない人々がいるっ……!」

 

城丸は顔をあげた。眼前に立っているのは殺人鬼だった。

 

口にするのも忍びない残忍きわまりない手段で、杜王町に住む人々を殺している殺人鬼だった。

罪のない人々を虫ケラのように殺していながら、のうのうと生きている殺人鬼だった。

 

「それがどうしたと言うのかね?」

 

殺人鬼は言った。彼の声は不気味なほど無機質で、うっすらと死臭を漂わせていた。それを嗅ぐたびに強烈な吐き気に襲われる。城丸は手で口をおさえた。死がゆっくりと這い上がってきたように、膝からしたが妙に冷たかった。

 

「傷つけてはいけない人々とは、私を探しているクソカスどものことかね?」

 

殺人鬼は訊ねた。とても大量殺人を犯したとは思えないほど端正な顔だった。そこはかとない大人の気品を漂わせ、知的な雰囲気をかもし出している。だがしかし、黒い闇がひっそりと広がっているような不気味さが、死神のそれに思えた。

 

命終のときが迫っているのかもしれない。

 

「聞こえなかったのかね、はやく答えたまえ!」

 

殺人鬼は不快そうに顔を歪め、ポニーテールに結われた城丸の髪を掴んだ。頭の皮膚が引きちぎれそうなほど痛かった。自然と涙が流れ、冷えきった頬を濡らす。その滴が地面にこぼれ落ちて、しおれた花を潤していく。場違いな感情を抱いてしまったのは、この場面を大好きなアニメで見たことがあるからだろう。

 

『私の後ろには、傷つけてはいけない人々がいる』

 

大好きなキャラクターは言った。それは死を覚悟した言葉だった。あざやかなピンク色の髪を揺らめかせ、清らかな瞳を輝かせて、死に向かって駆け出した。愛する人々を守る為に、その生涯を終えたのだ。誇り高く、そして悲しい姿だった。しかしだからこそ、この上なく神々しい何かだった。

 

「……夢でいいから、何だっていいから、会ってみたかったな」

 

城丸はポツリと呟いた。最期の勇気をふりしぼって助けを求めることはせず、ただ愛するキャラクターのことを想った。死に際の言葉というには、あまりにも情けない。

 

しかしこれが城丸という少女の全てだった。

 

「何を訳の分からないことを言っているんだ、質問に答えたまえ」

 

殺人鬼は顔を近づけた。死が凶暴な力をふるいながら嵐のように迫ってくるのを感じた。城丸は分かっていた。質問に答えようと答えまいと、彼は自分を殺すだろう。当たり前だ、顔を見られた人間を生かしておくはずがない。私だってそうするよ、と思った。

 

「私を探しているクソカスどもなんて、調べれば分かることだが、知ってる者から聞いておきたいからね。仗助と億泰以外にはいるのかね?スタンド能力は?」

「…………知らないっす」

「知らないってことはないだろ。君が彼らの友達だってことは分かっているんだよ?」

「私のストーカーですか」

「私が君みたいな小娘の後をつたがる変り者に見えるかい?」

「……お、女の人の手を集めてるサイコパスに言われたくないです。普通に気持ち悪いですし、変り者突き抜けてド変態だと思います」

「……どうやら私の質問に答える気はないようだね」

「すいません、もう吐きそうなんで吐いていいですか」

「君の汚いゲロで私のスーツを汚されたくないな」

「私の汚いゲロが手がかりになるかもしれないんで、今すぐ吐きます」

「……吐く前に始末した方がいいな」

 

殺人鬼は言った。まるで害虫を駆除するかのような物言いだった。実際そういう意味なのだろう。彼にとって城丸は“平穏な日常の妨げとなる害虫”で、それ以上の価値などない。ただそれだけの為に殺されるのだ。

 

……本当にそれでいいのか?

 

何かが囁きかけてきた。本当に、本当にそれでいいのかと。こんな狂った殺人鬼の思うままに殺されてしまってもいいのか。奴はこれからもなに食わぬ顔をして生活するんだぞ。お前はそれでいいのか。本当にそれでいいのか。

 

「キラークイーン!」

 

殺人鬼は叫んだ。彼の傍らで、青紫色の妖しげな煙が立ちこめる。そのすべてが甘く、すべてが不気味だった。煙はねっとりと揺らめきながら、得たいの知れない何かを作り上げていく。

 

「スタンド……」

 

城丸は目を細めた。友人の仗助はそう言っていた。人間など生物の精神力を具現化したもので、一部の者にしか扱えないという。素質がなければ目にすることも出来ないから幽霊のようなものだと、仗助は笑っていた。

 

どうやら自分にはその素質があったようだと苦笑した。追い込まれたからこそ発動したものかもしれない。だとしても皮肉すぎた。友人のスタンドは見えなかったのに殺人鬼のスタンドは見れたなんて皮肉でしかない。それにしても、それにしてもだ……。

 

「……どう見ても男型のスタンドっすね」

 

キラークイーンなるスタンドは所々にドクロのデザインをあしらった、猫型の獣人のような姿で、筋肉質な男性の体型をしていた。どう見ても女型ではなかった。禍々しいオーラを惜しげもなく放っており、それが風に吹かれてひらひらと飛んでいるように感じた。

 

もうすぐ人生最後の瞬間がやって来る。

 

心の準備なんて出来てるはずもない。死をも怖れないほどの境地へまで駆り立てていく情熱なんてない。ただ怖かった。そして生きたいという欲求が、熱っぽくあつく体の中を駆け抜けていく。それは生の叫びだった。生きとし生ける者すべてに備わる力そのものだった。であるからこそ、自分はあの大好きなキャラクターではないのだと確信してしまう。何と虚しく悲しい死に際だろう。

 

「……本当に会いたかったなぁ」

 

城丸は目を閉じて、そこでようやく気づいた。

 

……どんなものよりも深い闇の底で、一筋の光が差し込んでいた。不思議とまぶしさは感じなかった。光は楽しげに輝き、高々と太陽のようにさすらっている。それはゆっくりと、やさしく自分を包み込んできた。生の叫びではない。何か別の、もっと美しく気高いものだった。

 

世界が白く、そして黄金に輝いているのを見た。闇はまぶしい輝きの中にかすみ、消えていく。

 

それには覚えがあった。なんだろうと城丸は思った。かつて、それと同じものを身近に味わったような気がした。すぐに思い出す。

 

愛するキャラクターが、仲間を守る為に死んだ瞬間を目にした時だ。

 

「……たっ」

 

やがて城丸は目を開けて、殺人鬼とキラークイーンをじっと見つめ、そして雷のような声で叫んだ。

 

「お助けください、聖剣ロレーヌ様っ!!」

『レンタルを開始します』

 

ピロピロリン、と奇妙な電子音が流れた。

 

「お、おう?」

 

城丸は間の抜けた声で呟いた。呟いて、あっという間に顔色が変わった。世界の理、その一部が変わろうとしていたからだ。

 

光があふれる未知の存在が空中に浮かんでいた。正確に言うと、銀色のタブレット端末機が輝いているのだ。思わず目を細める。もしやキラークイーンの残忍きわまりない攻撃かと警戒感しながら、巨大なタッチパネルに記された文を読む。

 

『セイケンロレーヌ レンタル カイシ』

「……え、何すかこれ。レンタル?レンタルビデオ店のこと?シリアスな展開ぶち壊しにきてない?」

「小娘、何だその端末機は!?まさか貴様もスタンド使いか!?」

 

殺人鬼が怒鳴った。殺意に満ちた冷酷な目で城丸を睨み付け、キラークイーンと共に身構えている。城丸は全力で首を横にふった。

 

「いやいやいやいやいや!違います、違いますよ!私がスタンド使いなら、蛇〇炎殺黒龍波みたいな技をですね……」

「何を訳の分からないことを言っているんだ!私に分かるように話したまえ!」

「あーっ!何で手フェチのド変態サイコパス野郎の為に、私が分りやすく話さなきゃならないんですかーっ!」

「小娘、私を侮辱するつもりか!?」

「事実を言っただけですーっ!」

「……キラークイーン!この端末機もろとも小娘を爆破しろ!」

「ちょ、待っ……この流れから殺しにくるとか大人げないにもほどが」

「キラークイーン!」

 

瞬間、キラークイーンが兇暴な力と怒りの塊となって突進してきた。

 

これで短い一生が終わる。永遠の眠りにつくのだ。栄光ある戦死とは言い難い。これが漫画なからモブ以下の扱いだと、城丸は目を閉じた。せめて愛するキャラクターに見守られながら死ぬか、愛するキャラクターに召されながら死にたかった。

 

『レンタルを完了しました』

 

ピロピロリン、と奇妙な電子音がもう一度流れた。城丸は目を開けた。

 

タッチパネルに様々な映像が流れていた。それはパッと花火が上がって消えていくかのように儚くも美しい。そしてありとあらゆるものがタッチパネルから立ち上る。それは光の戦慄だった。数多の光が重なりあって、ひとつの神聖なものを紡ぎだした。

 

その存在を城丸は知っている。

その正体を城丸は知っている。

その名前を城丸は知っている。

 

光が輝きを増した。まるで燃えるように激しく輝いている。その黄金の光のなかで、若さあふれる娘が浮かび上がった。あざやかなピンク色の髪が弾むように揺らめき、その身を包む甲冑服は金と銀にきらめいていた。

 

娘が剣を鞘から抜きはなった。多種多様な色の、眩いばかりの光が押し寄せてくる。その聖なる力がキラークイーンを圧倒する。

 

そこでようやく、娘が城丸を見た。その姿は、一度見たならば誰もが心を揺るがせずにはいられないほど、美しく凛々しかった。

 

「私は聖剣ロレーヌ。そこの方、大丈夫ですか?」

 

娘、ロレーヌは言った。陽光を溶かしたように暖かなものを含ませて、やさしく微笑んでいた。